業務委託契約書の作成・チェックポイントとは?請負・準委任の違いから弁護士が解説!

外部の会社や個人に仕事を頼むとき、あるいは自社が仕事を引き受けるときに交わすのが「業務委託契約書」です。

 

デザイン制作、システム開発、コンサルティング、清掃や配送まで、その使われ方はさまざまで、いまやほとんどの会社にとって欠かせない契約になっています。

 

ところが、「よくある書式をそのまま使っている」「相手が用意した契約書に、内容をよく見ずにサインしている」という会社は少なくありません。

業務委託契約書は、報酬の支払いやトラブル時の責任の所在を左右する、とても重要な書類です。

 

中身があいまいだと、後になって「言った・言わない」の争いに発展してしまいます。

 

この記事では、業務委託契約書の基本から、必ず入れておきたい条項、依頼する側・される側それぞれの注意点、そして近年の法律の動きまでを、法律にくわしくない方にもわかるように解説します。契約書でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

1. 業務委託契約書とは?請負・委任・準委任の違いを弁護士が解説!

業務委託契約書とは、ある仕事を外部に頼むとき(またはその仕事を引き受けるとき)に、仕事の内容や報酬、責任の範囲などを定める契約書のことです。

 

実は「業務委託契約」という決まった名前の契約が法律にあるわけではなく、実際には「請負」と「委任(準委任)」という2つの契約のどちらか、あるいはその組み合わせになっています。

 

「請負」とは、仕事を「完成させること」を約束する契約です。

 

たとえば「ホームページを作り上げる」「建物を建てる」といったように、成果物を仕上げて初めて報酬がもらえるタイプです。完成しなければ責任を問われるのが特徴です。

 

一方「委任・準委任」とは、仕事の「完成」ではなく「きちんと業務を行うこと」を約束する契約です。

 

たとえば「毎月コンサルティングを行う」「システムの保守を担当する」といったように、成果そのものより、誠実に業務を進めることが求められます(法律的な事務をあつかう場合を委任、それ以外を準委任と呼びます)。

 

この違いは、報酬をもらえる条件や、うまくいかなかったときの責任の重さに直結します。

 

同じ「業務委託」でも、どちらの性質なのかによって、契約書に書くべき内容がまったく変わってくるのです。まずは「自社の頼む仕事はどちらに近いのか」を意識することが、失敗しない契約書づくりの出発点になります。

2. 業務委託契約書に必ず入れるべき条項について

業務委託契約書には、トラブルを防ぐために欠かせない条項がいくつかあります。

 

ここがあいまいだと、後で必ずといってよいほど揉めます。代表的な項目を見ていきましょう。

 

まず「業務範囲」です。どこからどこまでが依頼した仕事なのかを、できるだけ具体的に決めます。

 

ここがぼんやりしていると、「これも頼んだはず」「いや聞いていない」という追加作業をめぐる争いのもとになります。次に「報酬・費用負担」です。

 

金額はもちろん、支払いの時期や方法、交通費などの経費をどちらが負担するのかまで、はっきり決めておきます。

 

「再委託」も重要です。頼んだ仕事を、相手がさらに別の会社に丸投げしてよいのかを定めます。品質や情報管理の面から、無断での再委託を禁止したい場合は、その旨を明記しておく必要があります。

 

「知的財産権」も見落とせません。制作物の権利(著作権など)が、依頼した側と受けた側のどちらに帰属するのかを決めておかないと、後で「自由に使えない」というトラブルになります。

 

さらに「損害賠償」と「解除」も欠かせません。相手のミスで損害が出たときにどこまで賠償を求められるのか、どんな場合に契約を打ち切れるのかを定めておくことで、いざというときに会社を守れます。

 

これらは一つひとつが会社の利益に直結する、契約書の背骨ともいえる部分です。

3. 委託する側・受託する側で変わるチェックの視点

同じ業務委託契約書でも、自社が「仕事を頼む側(委託者)」なのか「引き受ける側(受託者)」なのかによって、注意すべきポイントは大きく変わります。

 

相手が用意した契約書は、相手に有利に作られているのが普通だからです。

 

仕事を頼む側であれば、「期待した成果がきちんと得られるか」「品質に問題があったとき、やり直しや損害賠償を求められるか」「情報が外部にもれない仕組みになっているか」がチェックの中心になります。

 

報酬を払う以上、成果物の品質や納期がしっかり守られる内容にしておきたいところです。

 

反対に仕事を引き受ける側であれば、「求められる業務の範囲が広すぎないか」「責任や損害賠償の負担が重すぎないか」「報酬がきちんと支払われる仕組みか」がポイントになります。

 

安請け合いをして、想定以上の作業や責任を負わされることは避けなければなりません。

 

たとえば、同じ「損害賠償」の条項でも、頼む側は「上限を設けたくない」、引き受ける側は「上限を設けたい」と、利害が正反対になります。

 

自社がどちらの立場かを意識し、その立場から契約書を読み解くことが、不利益を避けるうえで欠かせません。

4. フリーランス新法・下請法への対応~書面交付義務と禁止事項~

近年、業務委託をめぐる法律のルールが大きく変わりました。

 

特に知っておきたいのが「フリーランス新法」と「下請法」です。

 

これらを知らずに従来どおりの契約を続けていると、知らないうちに法律違反になっているおそれがあります。

 

フリーランス新法(正式には、フリーランスの方が安心して働ける環境を整えるための法律で、2024年11月に施行されました)は、企業が個人のフリーランスに仕事を頼むときのルールを定めたものです。

 

仕事を依頼する際には、業務の内容や報酬などの条件を書面などで明確に示すことが義務づけられました。

 

これを「書面交付義務」といいます。口約束だけで済ませることが、法律上できなくなったのです。

 

下請法(正式には下請代金支払遅延等防止法)は、主に大きな会社が小さな会社に仕事を頼むときに、立場の弱い下請け側を守るための法律です。

 

たとえば、報酬の一方的な減額や、支払いの不当な引き延ばしなどが禁止されています。

 

これらの法律は、「取引条件をきちんと書面で示す」「不当な扱いをしない」という点で共通しています。

 

契約書を作る際には、こうした法律の求めるルールを満たしているかを確認しておく必要があります。

 

うっかり違反してしまうと、行政からの指導や企業名の公表といった思わぬペナルティにつながることもあるため、注意が必要です。

5. 「偽装請負」と指摘されないための注意点

業務委託契約でよく問題になるのが、「偽装請負」と呼ばれる状態です。

 

これは、契約書の上では「業務委託」となっているのに、実態は「労働者を働かせている」のと変わらない状態を指します。

 

たとえば、業務委託として仕事を頼んでいるはずなのに、実際には自社の社員と同じように、細かい作業の指示を出したり、勤務時間や働く場所を細かく管理したりしているケースです。

 

この場合、形は業務委託でも、実態は雇用に近いと判断され、「偽装請負」として問題視されることがあります。

 

偽装請負と判断されると、労働に関する法律の責任を問われたり、行政からの指導を受けたりするおそれがあります。

 

「業務委託だから労働法は関係ない」と思い込んでいると、思わぬ落とし穴にはまってしまうのです。

 

こうした事態を防ぐには、契約書の内容だけでなく、実際の働かせ方にも注意が必要です。

 

業務の進め方は相手の裁量にゆだね、細かい指揮命令をしすぎないこと。

 

契約書の「かたち」と、日々の運用の「実態」を一致させておくことが、偽装請負と指摘されないための何よりのポイントになります。

6. ひな形をそのまま使う危険性と弁護士チェックのメリット

「契約書はインターネットのひな形を使えば十分」と考える方は少なくありません。

 

たしかに、手軽で費用もかかりません。しかし、ひな形をそのまま使うことには、見過ごせない危険があります。

 

ひな形は、あくまで一般的な取引を想定した平均的な内容です。御社の業種や、実際の取引の中身にぴったり合っているとは限りません。

 

必要な条項が抜けていたり、逆に自社に不利な内容がそのまま入っていたりすることもあります。

 

前の項目で触れたフリーランス新法や下請法など、新しい法律に対応できていない古いひな形も多く出回っています。

 

弁護士にチェックを依頼するメリットは、御社の立場と取引の実情に合わせて、必要な守りを組み込んだ契約書に仕上げられることです。

 

どの条項が自社にとって不利か、どこを直すべきかを、法律の根拠とともに指摘できます。

 

「請負なのか準委任なのか」といった契約の性質の見極めも、専門家だからこそ正確に行えます。

 

契約書は、うまくいっているときには目立ちませんが、トラブルが起きた瞬間に、会社を守れるかどうかの分かれ道になります。

 

少しの手間と費用で、将来の大きなリスクを防げると考えれば、弁護士のチェックはむしろ「安い保険」ともいえるのです。

7. 業務委託契約書の作成・チェックは当事務所へご相談を

業務委託契約書は、多くの会社が日常的に使うものだからこそ、「なんとなく」で済ませてしまいがちです。

 

しかし、その一枚が、報酬の支払いやトラブル時の責任を左右する、会社にとって大切な取り決めであることは間違いありません。

 

当事務所では、業務委託契約書をはじめとする各種契約書の作成や、相手から渡された契約書のチェックを数多く手がけてまいりました。

 

フリーランス新法や下請法といった最新のルールもふまえ、千葉を中心に、地域の企業の皆さまの取引を契約書の面から支えています。

 

「この契約書で問題ないか見てほしい」「自社用のひな形を整えたい」「フリーランスへの発注の進め方に不安がある」といったご相談は、どんな内容でも歓迎です。

 

専門用語はできるだけやさしくかみくだいて、御社にとって何が必要かを一緒に整理いたします。

 

契約書の作成・チェックでお困りの経営者・ご担当者の方は、当事務所のお問い合わせフォーム、またはお電話までお気軽にご連絡ください。

 

皆さまからのご相談をお待ちしております。

 

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弁護士 川村勝之

大学院時代には労働法を専門的に学び、弁護士となる。2015年にリフト法律事務所を立ち上げる。法律に関する知識に加え、IT関連の知識やコーチングの知識にも造詣が深く、多数の企業の顧問弁護士を務める。

 

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