契約書作成でおさえるべきポイントとは?弁護士が解説!


「取引先から契約書を渡されたけれど、内容が難しくてよくわからない」「自社で契約書を作りたいが、何を書けばよいのか不安だ」——企業活動を続けていれば、契約書をめぐるこうした悩みは誰しも一度は経験するものです。契約書は会社を守る大切な道具であると同時に、内容を誤れば思わぬ損失を招く危うさも持っています。この記事では、契約書を作成・確認するうえでおさえておきたいポイントを、法律にくわしくない方にもわかるように弁護士がやさしく解説します。

そもそも契約書とは?

ビジネスの場面では「契約書」という言葉を日常的に耳にしますが、そもそも契約書とはどのような書面なのでしょうか。契約とは、当事者どうしの「約束(合意)」のことをいいます。たとえば「この商品を100万円で売ります」という申込みに対して、相手が「その金額で買います」と承諾すれば、その瞬間に売買契約は成立します。実は日本の法律では、多くの契約は口約束だけでも成立するとされており、書面がなければ契約が無効になるというわけではありません。

それではなぜ、わざわざ手間をかけて契約書を作成するのでしょうか。最大の理由は「証拠を残しておく」ためです。口約束だけでは、後になって「言った」「言わない」という水掛け論になりがちで、トラブルが起きたときに自社の主張を裏づける手段がありません。合意した内容を契約書という形で文書に残しておけば、誰が・いつ・どのような条件で・何を約束したのかがひと目で明確になり、紛争そのものを未然に防ぐ効果が期待できます。

加えて契約書には、「合意内容を整理し、当事者間の認識のズレをなくす」という大切な役割もあります。取引の途中で「そんな話は聞いていない」という食い違いが生じれば、せっかく築いた取引関係そのものが壊れてしまいかねません。契約交渉の段階で条件を一つひとつ文章に落とし込んでいく作業を通じて、当事者双方が同じ理解に立つことができるのです。さらに、万一裁判になった場合、契約書は自社の権利を証明するうえで極めて重要な証拠となります。

このように考えると、契約書は単なる「形式的な紙きれ」ではなく、自社の利益とビジネスを守るための「保険」のような存在だといえます。だからこそ、内容を正しく理解し、自社の実情に合わせて的確に作り込むことが何よりも大切になるのです。契約書づくりを軽く考えてしまうと、後々の大きなトラブルの火種になりかねません。

契約書作成でおさえるべきポイントを弁護士が解説!

契約書を作成するときには、「中身(どんな条項を入れるか)」と「形式(どのような体裁で仕上げるか)」の両面に目を配る必要があります。どちらか一方が欠けても、いざというときに役に立たない契約書になってしまいます。ここでは、契約書の基本的な構成と、見落とされがちな形式面のポイントに分けて解説します。

一般的な契約書の構成について

一般的な契約書は、おおむね決まった順序で構成されています。まず冒頭に「表題(タイトル)」を置き、「売買契約書」「業務委託契約書」など契約の種類がひと目でわかるようにします。続く「前文」では、契約を結ぶ当事者(甲・乙などと呼びます)を特定し、何についての契約かを簡潔に示します。

その後に続く「本文」が契約書の中心で、ここに具体的な権利義務を定める条項を並べていきます。たとえば、契約の目的、業務やサービスの内容、対価(料金)とその支払方法、契約期間、契約を途中でやめる場合の解除条件などです。さらに、トラブルに備えるための条項も欠かせません。代表的なものとして、損害賠償(約束を破った場合に金銭で埋め合わせる取り決め)、秘密保持(取引で知った情報を外部にもらさない約束)、反社会的勢力の排除、そして万一争いになったときにどの裁判所で解決するかを定める「管轄」の条項などがあります。

最後に「後文」で契約書を何通作成し誰が保管するかを記し、作成年月日を入れ、当事者が署名または記名押印して仕上げます。これらの専門用語の多くは「もしものとき」に効いてくる備えです。一見すると地味で不要に思える条項ほど、トラブル発生時に自社を守る盾になることが少なくありません。条項の意味を理解しないまま雛形をそのまま使い回すと、自社の取引実態に合わない契約書になってしまうため注意が必要です。

契約書作成の形式面

契約書は中身だけでなく、形式面の作法にも注意が必要です。まず意識したいのが「収入印紙」です。契約書の種類や記載金額によっては、印紙税という税金がかかり、紙の契約書には所定の金額の収入印紙を貼らなければなりません。これを貼り忘れても契約自体が無効になるわけではありませんが、本来納めるべき税額に加えて過怠税というペナルティが課されることがあるため注意しましょう。

次に、契約書は通常、当事者の人数分を作成し、それぞれが署名・押印したうえで各自が一通ずつ保管します。複数ページにわたる契約書では、ページの差し替えを防ぐために「契印(けいいん)」を、二通の契約書が同一であることを示すために「割印(わりいん)」を押すのが一般的です。記載内容を後から手書きで直す場合には、訂正箇所に「訂正印」を押すなど、改ざんを疑われない形で行う必要があります。

近年は、紙ではなく電子データでやり取りする「電子契約」も急速に広がっています。電子署名法という法律に基づき、一定の要件を満たした電子署名には紙の契約書と同等の効力が認められます。印紙税がかからず、保管や検索もしやすいという利点がある一方、本人確認や改ざん防止の仕組みを正しく整えておくことが前提になります。形式面のミスは「内容は正しいのに証拠として弱い契約書」を生んでしまうため、軽視は禁物です。

契約書はどちらが作成するべきか?

取引を始めるとき、「契約書は自社と相手のどちらが用意すべきか」で迷う場面は少なくありません。相手が作ってくれるなら手間が省けてありがたい、と感じる方もいるでしょう。しかし、契約書を「どちらが作るか」は、その後の取引条件の有利・不利を大きく左右する重要な問題です。

自社商品・サービスは自社で用意すること

契約書を作成する側には、「条項の内容を自社に有利な形で設計できる」という大きなメリットがあります。契約書のたたき台(ドラフト)を最初に出した側が、いわば交渉の土俵を決めることになるからです。相手から出された契約書を一から修正するのは大変な労力がかかりますが、自社のひな型をもとに進めれば、主導権を握りながら効率的に交渉を進められます。

特に、自社が提供する商品やサービスに関する契約は、できる限り自社で契約書を用意することをおすすめします。自社のビジネスの実態をいちばんよく理解しているのは自社自身であり、起こりうるトラブルやリスクも具体的に想定できるからです。たとえば、納品物に不具合があった場合の対応範囲、支払いが遅れたときの取り扱い、契約を打ち切る際の条件などを、自社の都合に合わせて先回りして定めておけます。

一方、相手が用意した契約書には、当然ながら相手に有利な条項が盛り込まれていることが多いものです。一度よく使うひな型を整えておけば、その後の取引で繰り返し活用でき、結果として時間とコストの節約にもつながります。自社の定番のサービスについては、ぜひ自社主導の契約書を準備しておきましょう。

重要な契約ほど相手に作らせないこと

取引金額が大きい契約や、長期間にわたって会社の経営を左右するような重要な契約ほど、契約書を相手任せにしないことが鉄則です。重要な契約ほど、条項の一つひとつが将来の大きな利益や損失に直結するからです。

たとえば、自社にとって不利な解除条件や、過大な損害賠償の取り決め、あいまいな責任範囲などが相手の契約書にさりげなく盛り込まれていても、専門知識がなければ気づかないまま署名してしまうおそれがあります。契約書は一度締結してしまうと、後から「やはりこの条項は無効にしてほしい」と一方的に主張するのは容易ではありません。だからこそ、内容を決める入口の段階でしっかり関与しておくことが大切なのです。

「相手を信用しているから細かいことは気にしない」という姿勢は、良好な関係が続いている間は問題になりません。しかし、取引というものは、いざ何かトラブルが起きたときにこそ契約書の真価が問われます。相手に悪意がなくても、解釈の違いから争いに発展することは珍しくありません。重要な契約こそ、自社で主導して作成するか、少なくとも内容を専門家にチェックしてもらうことを強くおすすめします。

リーガルチェックを弁護士に依頼するメリットとは?

「リーガルチェック」とは、契約書の内容に法的な問題がないか、自社にとって不利な点がないかを、法律の専門家が確認する作業をいいます。社内に法務の担当者がいない中小企業の場合、契約書の内容を十分に精査できないまま締結してしまうケースも多く見られます。ここで弁護士によるリーガルチェックを受けることには、いくつもの大きなメリットがあります。

第一に、契約書に潜むリスクや、自社に不利な条項を事前に発見できることです。弁護士は数多くの契約トラブルを扱ってきた経験から、「この条項はこういう場面で問題になる」という勘所を熟知しています。一見問題のなさそうな文言でも、解釈次第で大きな不利益につながる箇所を見抜き、具体的な修正案を提示できます。

第二に、抜けや漏れを防げることです。本来定めておくべき条項が欠けていると、いざトラブルが起きたときに対応できません。弁護士のチェックを通せば、自社のビジネスに必要な条項が過不足なく備わっているかを確認できます。

第三に、結果として将来の紛争を予防し、コストを抑えられることです。契約締結前のチェックにかかる費用は、トラブルが起きてから裁判で争う費用に比べればはるかに小さく済みます。「転ばぬ先の杖」として弁護士を活用することが、長い目で見れば会社を守り、経営を安定させることにつながるのです。

契約書作成・リーガルチェックでお困りなら当事務所へ

ここまで、契約書を作成・確認するうえでおさえておきたいポイントを解説してきました。契約書は、自社のビジネスと利益を守るための大切な土台です。とはいえ、日々の業務に追われるなかで、一つひとつの契約書をすみずみまで吟味するのは簡単なことではありません。

リフト法律事務所では、企業のみなさまの契約書の作成や、取引先から提示された契約書のリーガルチェックを数多くお手伝いしてまいりました。「自社に合ったひな型を整えたい」「この契約書にサインして本当に大丈夫か不安だ」「取引でトラブルが起きそうで心配だ」——そうしたお悩みに、企業法務にくわしい弁護士がていねいに対応いたします。

契約は、結ぶ前の準備こそがもっとも重要です。問題が起きてから相談に来られるよりも、契約を結ぶ前にご相談いただくほうが、防げるトラブルも、守れる利益もずっと大きくなります。契約書の作成やリーガルチェックでお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にリフト法律事務所までお問い合わせください。みなさまの安心できる取引を、法律の面からしっかりと支えてまいります。

 

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弁護士 川村勝之

大学院時代には労働法を専門的に学び、弁護士となる。2015年にリフト法律事務所を立ち上げる。法律に関する知識に加え、IT関連の知識やコーチングの知識にも造詣が深く、多数の企業の顧問弁護士を務める。

 

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